プロCFOインタビュー

Professional CFO Interview

上場を本気で目指されたい方に、ファンド傘下の企業は有力な選択肢の一つ

野尻悠太

(アドバンテッジパートナーズ投資先・2023年7月グロース市場上場)株式会社ナレルグループ

取締役コーポレート本部長

野尻悠太様

2006年4月   みずほ証券入社(インベストメントバンキングプロダクツグループ)
2009年11月 株式会社アクセルスペース入社(取締役COO)
2019年4月   株式会社JDSC入社(CFO)
2020年5月   株式会社ナレルグループ入社(取締役コーポレート本部長)

「自分が人生でやりたいことをやる」ということを判断軸に決断してきた若手時代

― ご経歴と自己紹介について確認させてください。

大学・大学院では航空宇宙を専攻し、金融を通じてダイナミックに仕事が出来そうというイメージを持った事からみずほ証券に入り投資銀行業務に従事しました。
その後、宇宙スタートアップのアクセルスペースにてCFO、COO等を歴任し、AIスタートアップのJDSCを経て、2020年にワールドコーポレーション(ナレルグループの事業子会社)に管理本部長として入社しました。その後持株会社体制への移行に伴い、ナレルグループの取締役コーポレート本部長を務めています。

― ご自身の若手時代(20代)で特に印象的だった経験、意識されてきた点はどういった事だったのでしょうか。

証券会社に約3年半勤務したのち、20代でスタートアップに転職していますが、そのときも自分が人生でやりたいことをやるということを判断軸に決断をしました。
これは、最後にあとで人生を振り返ったときにやりたいことをやれたか、やらずに後悔するよりやって後悔の方がいいかなという風に思った事、大学の研究所の2個上の先輩が作った会社でアクセルスペースという場はすごい面白いと感じた事から飛び込んだという感じです。
当時は良くも悪くもリスクに対して鈍かった、何とかなるみたいなそういう楽観的な部分と、その当時の技術の可能性については自分がよくわかっている分野だったのでリスクを取りやすかったのかもしれないです。

PEファンド投資先とスタートアップベンチャーCFOの違い

-PEファンド投資先とスタートアップベンチャーでのCFO経験が有られますがCFOを務める際どういった違い、魅力があると感じますでしょうか

スタートアップでは、ジョインする時期にもよりますが、会社が小さな時期から会社と共に成長し、ダイナミズムを感じることができると思います。また、エクイティ調達も行う必要があり、PE投資先ではできない経験をすることができることも魅力かと思います。特にエクイティでの調達については、能動的にビジネスプランを作り、市場に何をプロダクトとして提供するか明確化して、市場の分析を行い、その中でどういった自社の強みがあるのかを明確化、組織、プロダクト開発、事業をどう成長させるかという非連続的な成長のプロセスを描くのは醍醐味かと思います。
一方で、PE投資先には、そういったダイナミックな側面はあまりありませんが、その性質上、現状のままで居続けることが許されるわけではなく、事業変革・事業成長が強く求められます。PE投資先となるような一定規模以上の成熟企業で事業成長を推進するCFOを務めるということは、スタートアップとはまた異なる経験が積めることが魅力かと思います。
また、PE投資先の方がファンドへのレポーティングについても、事業が成熟していることもあり、KPIも細かく分析し改善をしていたという印象はあるかもしれないです。

-スタートアップとファンド投資先の違いという部分についてもお話頂きましたが、特にどういう方がファンド投資先にフィットしやすいと感じますでしょうか

結構スタートアップって、ジョインするには個人的な感想として熱狂というか、そういったようなものがないと、とても飛び込めないっていうのはあるような気もしていて、それよりかはどちらかというと、自分のスキルとか能力がどういう場で活かせるのかとか、必要としてもらえるのかっていう、職人気質的なところがある方の方が向いてるかもしれないです。
もちろん対象会社のビジネスに対して興味を持つっていうのは必要ですが、スタートアップほどの熱狂的な共感は求められはしないので、自分の能力がどう生かせるかというところに興味があるとフィットしやすいかもしれないです。

PEファンド投資先での上場準備

-現職の主な業務内容について確認させてください。

コーポレート本部長として、経理・財務のみならず、人事総務、法務、IT等幅広い管理部門を管掌しています。

-現職で上場準備を行う中で、最も困難だったことは何だったのでしょうか

また、どのように乗り越えたのでしょうか
正直なところ非常に辛かったということはありませんでした。社内も上場準備に協力的でしたし、プロジェクトメンバーにも恵まれ、主幹事証券も会社に寄り添って対応いただけました。そのおかげで、一つ一つ課題を着実にこなすことができ、非常にスムーズに上場準備を行うことができ、当初のスケジュールから全く遅れることなく、上場することができました。
ただ各部門間との連携が必要なタイミングや、各部門に負担をかけなくてはいけない際は、しっかり根回しを意識していました。こちら側から一方的に落とすというのはご法度で、関連部署のキーパーソンと会話をして、理解を得つつ進めるという部分に気を遣っていました。
また、主幹事証券会社・監査法人ともコミュニケーションをする際は、バットニュースは先に伝えるようにし、また風通しもよく情報をオープンにして積極的に協力してもらえるように心がけていました。

-上場を達成された際の率直な感想をお聞かせください

社内が大きく変わるわけではないので、それほど実感はありません。上場したとしても会社の事業成長に合わせた内部管理体制の運用・構築等は引続き実施する必要がありますし、IR等、新しい業務も発生していますので、息つく暇がないというのが率直な感想です。

-上場準備を進める中でファンド側からはサポートは有ったのでしょうか。また有ればどういったサポートだったのでしょうか

実務については会社側にかなり任せていただいていましたので、人材採用のサポートやファンド内に蓄積した過去のIPO案件等の経験を踏まえたエクイティストーリー構築、バリュエーション決定、ロードショー運営等のプロセスにおいて、アドバイス・サポートいただきました。

-上場を志向する場合、ファンド傘下でのCFOという選択肢はどういった魅力があると感じますでしょうか

PEファンドの投資対象となるということは一定規模かつ少なくとも安定的な売上・利益があるケースが多いと思います。それでもなお、収益拡大は重要な課題ですが、業績によって上場の見通しが全く立たないということはないので、ある程度、それ以外の上場準備に集中できるという魅力があると思います。そういった意味で上場を本気で目指されたい方にはファンド傘下の企業は有力な選択肢の一つとなるのではないかと思います。

-現職では、創業者さんも在籍されてきたと存じますが、創業者さんとファンドさんとの間を取り持つ部分にご苦労は無かったのでしょうか?

創業者である代表取締役からファンドとしてはどういうことを考えているのか等は聞かれることもありますし、こうしたら良いんじゃないですか、という事も伝えていました。ファンド側としてどういう出方が出来るのか予想しつつある程度の着地点は見据えて予期しながらもうまく調整していくという部分はやっていたかもしれないです。

-アドバンテッジパートナーズについては投資先側で勤務する中でどういった印象を持たれましたでしょうか

APの投資チームの方々は、合理的かつサポーティブでしたので、仕事は進めやすかったと思います。大株主としてのAPと会社の間で必ずしも利害が一致しないこともあったかと思いますが、会社側の意思も尊重いただき、上場に向けて非常に良い関係の中で進めることができたことに感謝しています。

-最後にPE投資先CFO目指されている方・関心を持たれている方にメッセージをお願いします

前に述べたとおり、PE投資先のCFOはスタートアップとはまた違った魅力があると思います。どういったキャリアを歩むかはそれぞれの価値判断かと思いますし、PE投資先はスタートアップに比べると知名度の低いキャリアパスであるのが現状かと思いますが、少しでも魅力を感じられたのであれば是非ともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
特にプロ経営者的なキャリアの最初の登竜門として、PE投資先は適しているのではないか、またそうあってほしいなと感じています。まがりなりにも私も上場企業の取締役CFOを務めているわけですが、日本に上場企業は数千社ありますが役員の方は内部昇格というケースがほとんどではないかと思います。外部の人材がチャンスを得られたのは非常に興味深い部分なのではないかと思ったりしています。

野尻悠太

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