プロCFOインタビュー

Professional CFO Interview

会社の理念・社長の思いを守れるかどうかを一番に心がけ、 社長が考えていることをできる限り汲み、 それでもだめなところをしっかり伝える

佐々木大祐

株式会社識学

上級執行役員(CFO)

佐々木大祐様

2011年  大学在学中に公認会計士試験に合格
2012年4月 株式会社ソフトウェア・サービス入社
2013年9月 新日本有限責任監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入所
2018年6月 株式会社チームスピリット入社
2019年5月 株式会社識学入社
2021年5月 株式会社識学 取締役経営推進部長就任
(31歳の若さでグロース上場企業CFOとなる)
※インタビュー時点(2023年5月時点)での内容となります。

監査法人でのターニングポイント

― ご経歴と自己紹介について確認させてください。

大学在学中に会計士試験に合格後、上場会社の経理スタッフとしてキャリアをスタートしました。その後、EY新日本有限責任監査法人へ転職し、IPO準備企業や上場企業の監査を行い、現場主査を6社ほど経験しました。約5年在籍した後に監査関与先(上場会社)へ転職をいたしました。その後、上場会社の経営企画部門の課長になり、そのあとに管理系の執行役員、取締役となっていった形です。

― どのような学生時代だったのでしょうか。

高校生の間は部活動の軟式テニスに注力していました。顧問の先生がコーチ未経験だったので、自分の力で上手くなるしかありませんでした。指示されたことをやるだけではなく、自分と徹底的に向き合う姿勢を大切にしていました。負けず嫌いだったので、負けたときに悔しいと思うだけでなくどうしたら勝てるのか考えて、人の良いプレーを真似したり、自分の頭の中で組み立てながらどういう展開をするかを俯瞰的に見ながらプレーしてみるなどの工夫をしてきました。ストイック志向、物事を広い視野で全体的に把握して見る力というのは、社会人になった今でも活きていると思います。
部活に注力する一方で、勉強をしなかった結果、志望していた大学には行けず、よくいる落ちこぼれのような学生だったかなと思います。相対的にみて偏差値が高いといわれる大学には行けなかった。将来についてどうしたらよいかわからず、人生を少し諦めていたような時期が長かったなというイメージです。
その後、会計士という資格があることを知り、数学が苦手な自分でも、計算機が使えることでハードルの低さを感じ、取得に向けて猛勉強しました。「勉強」という部分でやり直しをするなら大学生の時間しかないという思いで、大学2年から大学4年の間、会計士試験を合格するまで毎日10時間~12時間ほど勉強していました。学歴コンプレックスへの悔しい気持ちと将来への恐怖心がここまでストイックになれた原動力だったのだと思います。

― ご自身の若手時代(20代)で特に印象的だった経験、意識されてきた点はどういった事だったのでしょうか。

監査法人に入ったときに、ただ言われた事だけ漫然とやっていた自分に対して「もうこの現場に来なくて良いよ」とその時の先輩に言われたことです。
何となく監査法人という安定している職場に入社して安心していた自分を変えるターニングポイントになったと思っています。
そこから「監査しているクライアントのビジネス・業界・トピックは監査チームの誰よりも詳しくなっていないといけない」、「会計・監査に関する六法をすべて暗記・理解してどういった相手であっても対等に話ができる状態にならないといけない」という2点を常に意識し始めました。
ビジネスの実態をどのように会計に反映するか、それが基準に照らして妥当なのかというのが会計や監査の世界の大枠であると整理して、上記2点を常に意識し、実行していました。

― 在学中の会計士試験・合格、クライアントのビジネス理解で誰よりも詳しくなること・六法の暗記等そういった決断力や粘り強く取り組まれる力というのは何が原動力になられているのでしょうか。

今までの人生で、基本的に「悔しい」と「挫折」が原動になっていると思います。また、周りの方に助けられたことが大きいです。
監査法人に入ってすぐ、「もう来なくていいよ」「全然使えない」と言われたことが今でも強く思い出に残っています。それが悔しかったです。そんな状況の中でもいろいろサポートしてくれた先輩たちの存在が大きくて、自分は教わっているだけでいいのかと感じるようになりました。自分自身もレベルアップしないと「もう来なくていいよ」と言った人を見返せない、助けてくれた人にも恩返しできないし、自分も成長できない。今やるしかないと思いました。もう一回壁にぶち当たった感覚ですね。

上場企業CFOを務めるまでの経緯

― CFOは元々目指してキャリアを形成されてきたのでしょうか。またそうであればどういった準備をされてきたのでしょうか。

もともとは目指していなかったというのが本音です。いろいろ自分ができることをやっていった結果、そういう立場になっていたというのが正直なところです。
今でも「肩書」の方が先行してしまっていて、本当の自分はまだ肩書に追い付いていないと思っています。ただ、その肩書に相応する職務を遂行できるように、自分ができる最大限の努力をしているのが現状です。
意図的に準備をしてきたわけではないですが、監査法人で一定の経験を積み、事業会社での管理部門やIR、経営企画に近い業務の実務・マネジメントを経験してきたことで、結果としてCFOという肩書を与えてもらえるような人材になったのかなと思います。

― 現職に入社された経緯について確認させてください。

下記の2点です。
①自分をより成長させることができるという点
②社長の人柄、目指すもの、目指すものの解像度の高さ、事業が目指しているものすべてに共感した点
前職では組織になじめない、組織ってどんなふうに良くしていけばいいんだろうと悩んだことがありました。今までぴりっとした組織で働いたことがなく、識学は組織の規律を良くして成長させていくという考えがありました。
識学の役員の方と食事をした際に組織について何も分かっていないと言われました。そこで挫折を経験し、自分は組織を運営するうえでの知識がないとわかりました。そこで入社させてくださいと門をたたいたのです。

― 佐々木様が若くして上場企業CFOを務める事が出来た秘訣・ポイントはどういった点だったのでしょうか。

自分の努力もあるとは思うのですが、人とのめぐりあわせが本当によかったなと思います。
厳しい指導や厳しい意見を言ってくれた先輩、年齢が若い自分に対していろいろ教えてくださった監査法人時代のクライアントの方、上場会社での上司の方々のおかげで成長できたというのが非常に強いので、出会った人たちに恵まれていたおかげだと思っています。

― とても謙虚ですね。周囲の方から意見をもらったり、いろいろ教えてもらえるのも一つの能力かと思うのですが、特に佐々木さんのどういった点がポイントになったと思われますか。

自分ではなかなかわからないのですが・・・監査法人の先輩はすごく面倒見がよかったです。もらったアドバイスというのは自分に足りてないこと言ってくれているのだなと謙虚に受け入れる姿勢を常に持っていました。それが部下からだとしても謙虚に受けとめます。言いやすい環境をつくることも心がけています。
アドバイス、意見も一つの情報であるので、どれだけ情報を収集できるのかも一つの強みになると思っています。

CFOの魅力

― 上場企業、またCFOの醍醐味・魅力はどういったものになりますでしょうか。

上場企業という意味では、できるアクションも増えるため、上場企業になればなるほど関係者が増えます。例えば資金調達というアクションでも投資家の数も多ければ関連する証券会社もあってそのなかでいろんな経験を積めます。上場企業だとある程度の資金力もあるので、バックオフィスへの投資もできます。お金を使えばバジェットも増えるので、そんななかで試行錯誤できる。コーポレートアクションという意味ではいろんなことができるのが上場企業の強みですね。逆にスタートアップはバジェットないなかでどうやっていくかなので、バジェットがあるところを知っていると「これが最低限あればいいかな」というポイントを絞れます。上場企業を経験してから準備企業にいけたのはよかったなと思いますね。
CFOについては、財務という面から自分が企画・立案して進んだ会社のコーポレートアクション、その後の成長に関与できることで、会社の成長を自分の経験として積める部分が魅力だと思います。

― CFOになるために、どういった経験・能力が必要とされていると感じますか。

実務的な経験を除くと下記があるとよいのかなとは思っています。(CFO一人では何もできないので)
①人を巻き込んでプロジェクトを進める力
②ファクトベースでフェアに判断を行える力
③社長に対して本当にダメな時にダメと言える力
④会社が成長するために必要な要素を因数分解して、ストーリーを作れて説明できる。説明だけではなくて現場まで落とし込んで実現までもっていく胆力のある方

― 30代前半で評価者でもある上場企業創業社長に対してブレーキをかけなくてはいけない場面というのはかなり苦労もさられたのかなと思うのですが、佐々木さんはどのような事をその際心がけていらっしゃったのでしょうか。

社長が考えていることをできる限り汲みながら、それでもだめなところをしっかり伝えることを心がけています。ただ否定するだけではなく代案も併せてきっぱりと伝えます。
会社のためになるか、会社の理念・思いを守れるかどうかを一番に心がけています。

― これからの佐々木様自身の将来の展望についてはどういった事を想定されておりますでしょうか。

子供が大きくなった時に、父親が何をやっているか、どういったことに貢献しているのか見せられるといいなという思いが強いです。だからこそ現職を選びました。

― 最後にCFO目指されている方にメッセージをお願いします。

自分はCFOという肩書を意識していません。結局は、どういう役職だろうが、会社を大きく成長させるために、自分の能力を高めて力を発揮できるかということだと思います。それを一番責任強く求められるのがCxOや取締役。高い責任感を持ち、役割を務めらえるように日々研鑽していくことができれば、誰でもその立場になれると思います。自分も肩書を務めらえるような人間でなくちゃいけないと常に思っています。

佐々木大祐

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