プロCFOインタビュー

Professional CFO Interview

CFOは座学ではなく経験することでしか実績は積めない職種

湯瀬幾磨

Mattrz株式会社

CFO

湯瀬幾磨様

2005年 早稲田大学政治経済学部卒
同年   公認会計士2次試験合格
同年   株式会社エスネットワークス入社
2014年 リノベる株式会社入社 取締役CFO就任
2016年 ジャパンアセットマネジメント株式会社 社外取締役就任
2018年 株式会社人材開発グループ 代表取締役就任
2019年 アトモフ株式会社 監査役就任
2022年 株式会社Auditech 社外取締役就任
2024年 J-STARが資本業務提携を行ったMattrz株式会社のCFOを務める

資格専門学校の写真に惹かれ会計士の道へ

―どんな学生時代を過ごされたのでしょうか

学生時代はサブカルや小劇場の世界に憧れて演劇サークルに入り、役者をしておりました。自身でも演劇ユニットを結成し、年間3本ほどの公演をしておりました。

-会計士資格を取得されたご理由と、取得後監査法人ではなく財務会計コンサルのエスネットワークス社を選ばれたご理由について

演劇活動に没入することで卒業に必要な単位を取得できず留年が決まり、時間ができたことで資格の勉強をすることといたしました。資格専門学校のTACに行った時に、現実にはないと思いますが、ヘリコプターに乗っている夢のある写真に惹かれて公認会計士資格を選びました。当時は就職氷河期でしたし、留年もしていたので資格もなく就職は難しいだろうと思っていました。一人でも食べていけるような生き方ができるようにこの資格を選びましたね。
監査法人というメインストリームの世界ではなく、ちょっと道を外れたサブカルのような世界に魅力を感じて、新興の「財務会計コンサルのエスネットワークス社」を選択したと記憶しております。

新興IT企業での出会いや仕事が成長のきっかけに

-ご自身の若手時代で特に印象的だった経験、意識されてきた点はどういった事でしたか

USENやライブドアといった新興のIT企業をクライアントに持ち、会計コンサルの仕事をし、そこでの人との出会いや裁量権のある仕事のお蔭でとても成長をさせてもらったと思っております。会計とかファイナンスの知識を持ちながらも事業会社の中でアグレッシブに冒険心を持って取り組まれている方々と一緒に仕事をするというところは、個人的にとても刺激になったかなと思っています。
業務の専門性も大切ですがクライアントとの人間関係の構築が、コンサルティングサービスを提供する上で最も大切なことであると認識しました。

-財務会計コンサル(エスネットワークス社)での経験はPE投資先である現職や、ベンチャーであるリノベるでどのように活きたと感じますか

投資家のみる目線や温度感と事業内部の考える日々の熱量を同時に感じ考えることができることを身につけられたことがとてもよかったです。ライブドアの金融部門をアドバンテッジパートナーズが買収したタイミングがあり、そこでPEファンド側の担当者の方と業務を進めることができました。彼らの思う投資をしたときの成長戦略のロジックと現状の足元からの数値をどう合わせていくのかというところで、非常に綿密にコミュニケーションをとる機会がありました。また、USENのCFOをやっていた佐藤英治さんという方が、その数年後に太陽HDで社長をやりまして、私も一緒に帯同していくタイミングがありました。2年ほどそこでM&AやIRの担当を務めさせていただきましたので、資本市場となる証券アナリストの方々とやり取りをさせていただきました。そういったところで、比較的温度感とか目線みたいところは養われたと思います。このように、プライム市場上場会社でIR担当として、国内・国外の投資家に対面でじっくりと業務で向き合えた時間(1年ほど)はとても有意義であったと思います。

-現在J-star投資先Mattrz社のCFOを務められていますが、主な業務内容についてお聞かせください
一般的なCFO業務がメインになります。
IPO準備・資金調達(銀行対応)・中期経営計画・株主コミュニケーション取締役会運営等
人事、組織構築のための人事評価制度の構築に直近特に時間をかけました。

5社が一つになった現職PMIについて

-Mattrz社は、元々CRAFTA社、暮らしーの社、1k社、FreeSpark社、ベトナムPioneer Soft Vietnam社という異なるカルチャーの5社が一つになって構成されているとのことですが、マネジメントをされる際に苦労された点や工夫された点があればお聞かせください

創業メンバーと中途の経営陣との融合を過去から進める中で、創業メンバーがいなくなりました。
その過程で組織風土が異なるところから文化の統合に係る業務、特に人事評価制度の策定が大変でした。社長含め私達経営陣は中途になりますので従業員の方々からの信頼感はほぼゼロの状況から始まっています。その中でカリスマ性や人間性で引っ張ることはとても難しいと思っています。まずは客観的で透明性のあるルールを作ることで、皆さんに安心感を持って働いていただけるのではないかと思いました。特に給与面は会社によって大きく異なっていたので、一つの等級・給与テーブルにあてはめ、残業時間を統一化させることを優先しました。あとはスタッフレイヤーから部長陣まで社員全員1人1人に、時間をとって1on1で私が説明するという部分がとても必要でしたし、良かったのではないかと思います。苦労した点で言うと簡単には理解されないところですが、こればかりはもう時間で醸成していくしかないと思っています。

-Mattrz社で働く魅力はどういったところでしょうか

いい意味でも悪い意味で中期的に経営戦略・資本政策が、ふわっとしていることがあるので内部外部の全員で手作りの経営を模索している状況が面白いです。

-PEファンド投資先とスタートアップベンチャーでのマネジメント経験があられますが、マネジメントを行う際どういった違い、魅力があると感じますか

ガバナンスルールが属人的なオーナー企業とガバナンスルールが整備されたファンドという点で大きな違いがあると思います。
ファンド傘下の経営では、比較的目にみえる制約のなかで経営を考えるので、大きな枠組みは見えやすいと思います。

-率直にJ-STAR社についてはどういった印象を持たれましたか

担当者ベースですが人間的な付き合いを大事にする印象です。
個人的にはとても信頼できるメンバーが多いと思います。

-湯瀬様の今後の展望についてはどういった事を想定されていらっしゃいますか

目下の展望としてはしっかりとMattrz社を次のステージに一歩上げていくことを実現したいと思います。

CFOを目指す方に

-最後にCFOを目指されている方やファンド投資先に関心を持たれている方にメッセージをお願いします

ケースバイケースだと思いますが、座学ではなく経験することでしか実績は積めない職種だと思います。企業の規模や経営メンバーの状況はさておき、経験を積める機会があればチャレンジしてみる冒険心がとても大切なことだと思います。オーナー企業に若くして入ってしまうと、どちらかというと御用聞きみたいな形になってしまうケースが多いと思っていますが、PEファンド投資先でファンドの方とお仕事をすることでガバナンスのあり方や会計数値の作り方などのテクニックを学ぶことができ、どういったところを重視して見られるかという肌感覚を養うことができるのではないかと思います。そうすることで自信を持ってオーナー様と対峙できるっていうところはあるのかもしれないですね。様々なオーナー様がいらっしゃる中で、ただぶつかり合うというよりかは、投資家さん目線でのロジックで意見を伝えることができる。なんかただただこれが正しいからとかっていうロジックではなくっていうのは、やはりPEファンドさんの仕事の中で学べたことがあったかもしれないですね。

湯瀬幾磨

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